ウェディングロマンス~誓いのキスはふたりきりで~
俺に構うな、と言われたみたい。
そこに感じるのは、確かな拒絶だった。


肩を落として、テーブルの上に目を向ける。
響さんと一緒に食べようと待っていた間はずっと感じていた空腹を、今は全くもって感じない。


明日、お弁当にして持って行こうかな、と思ったけど、明日は美砂子と外食ランチの予定がある。
それを思い出してガックリとこうべを垂れた。


これは、誰の胃に入ることもなく、生ゴミ化決定かな。


仕方ない。ちゃんと響さんの予定を確認しなかった私が悪いんだ。
連絡してくれるのを待つんじゃなくて、私から聞くべきだったのかもしれない。


明日からは、ちゃんと予定のお伺いを立てよう……。


そう思いながら、テーブルの上を片付ける。
ラップを剥がして、お皿の上の料理を、三角コーナーに滑り落とした。


「……何も捨てなくてもいいだろ。それ、地味な嫌味か」


背後から掛かった声に、私はゆっくり顔を上げた。


ラフな部屋着に着替えた響さんが、呆れた表情で私を見つめている。
さっきまでのキリッとしたスーツ姿とのギャップにドキッとしながら、私は自分の手元に目を落とした。


「そんな、嫌味なんて……。ただ、残しておいてもしょうがないから。私、明日、美砂子とランチ約束してるから、お弁当に出来ないし……」

「……」


響さんは小さな溜め息をつくと、私の背後からヌッと手を伸ばした。
そして、筑前煮を入れた器を私から奪い去ると、黙ってテーブルに戻した。


「え、あの。響さん?」

「シャワー終わったら、ビール飲みたい。冷やしてあるだろ?」

「は、はい……」

「それ、酒の肴にするから温めておいて」

「あ……」


私の返事を聞く前に、響さんはバスルームに消えて行く。
程なくして、シャワーの水音が聞こえて来た。
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