ウェディングロマンス~誓いのキスはふたりきりで~
響さんは呆れた目をしながらも、次の瞬間にはクックッと肩を揺らして笑い出した。


「損な性格だな、お前」

「……それは、自覚してます」

「俺と違って心が純真なんだろうけど……相手がつけ上がるだけだし、いいことないから、気を付けろよ」

「善処します……」


亡くなった父にもよく言われた私の短所。
人の顔色を窺ってすぐに謝る癖は、自分に自信が無いせいだって。


シュンとして両手で持った缶に視線を落とす。
響さんは少し椅子を引いて、長い足を組み換えた。


「……おかげで、俺も謝るタイミング失くしたし」


ポツリと呟く声に導かれるように、私は響さんを上目遣いに見つめた。


「響さんが? 何を?」


キョトンと首を傾げると、響さんはガシガシと頭を掻いてから、不機嫌そうにそっぽを向いた。


「……せっかく作ってくれたのに、無駄にして悪かった」

「えっ……」


早口で言い捨てられたその言葉が意外で、私はパチパチと瞬きをした。
私の反応に響さんはますます不機嫌になって、なんだよ、とぶっきら棒に呟く。


「いえ、私の方こそ……出過ぎた真似をしちゃって、すみません」

「……ほら、また謝る」

「あ」


右手で口を押さえて言葉を飲み込む。
チラッと窺い見ると、響さんはほんの少し目の下を赤らめて、グッと一気にビールを煽った。
そして、右手で箸を取り上げて、筑前煮の器に伸ばす。
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