ウェディングロマンス~誓いのキスはふたりきりで~
摘まんだタケノコを口に運ぶ。
何度か咀嚼した後、響さんは、美味いと一言呟いた。


「え?」


思わず顔を上げると、響さんは綺麗な箸使いで牛蒡を摘まみ上げた。
そして、ポイッと口に放り込む。


「美味いよ」


ゆっくり言い含めるみたいに繰り返す声に、胸がキュンとした。


流すように私に向けられた切れ長のスッとした瞳。
視線が真正面からぶつかって、私は反射的に目を伏せた。


両手で頬を押さえると、なんだかやけに熱かった。


「出過ぎた真似ってこともないけど……。
無駄にしたくないから、平日は俺の食事なんか気にしなくていい。
予定が入る度に一々連絡するの、面倒だから」


響さんは私の反応を気にした様子もなく、そう言いながら淡々と箸を進める。


「……はい。わかりました」


私の返事を聞いて眉間の力を緩めると、よしよし、と言いながら、テーブルの向こうから伸ばした手で私の頭をポンポンと叩いた。


子供に対するみたいな優しい仕草。
それを無意識で私にやってのける響さんに、頬の熱が更に上昇してしまう。


当の本人はシレッとしたまま、いいペースでパクパクと口を動かし続ける。
小さな器の中味は瞬く間に空っぽになった。
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