ウェディングロマンス~誓いのキスはふたりきりで~
ランチを終えてオフィスに戻って。
私は、散々考えた挙句、篠沢課長に相談した。


銀行全体で隠す事件の当事者が、座談会でそこに触れようとするかもしれない。
私の報告を聞いて、篠沢課長は眉をひそめて、う~ん、と唸った。


「でも、まあ……。社内報の座談会とは言え、人前でそんなマズイ事は話さないと思うしね。
いざとなれば彼女の発言は編集でカット出来るし、今から内容再考をお願いしなくても大丈夫なんじゃないかな」


少し考えながらも、篠沢課長はそう言ってGOサインを出した。


「まあ、不測の事態に備えて、沢木さんもインタビュアーも、上手く繋げる力を身につけておく必要があるかもな」


プリントアウトしたメールの用紙を私に返してくれる課長に、私は、はい、としか返事が出来なかった。


私が恐れたのは、中谷さんが不祥事について語ることじゃない。


その時の中谷さんの心情を聞いて、響さんが今どう感じるか。


怖いのは、そこだったから。
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