ウェディングロマンス~誓いのキスはふたりきりで~
響さんが愛車のアルファードを運転して向かったのは、朝のテレビで特集していた鎌倉だった。


「いい機会だ。寺巡りして、おみくじ引いて運だめし。
ついでに神頼みもしてくれば、座談会の不安もいくらか和らぐんじゃないか?」


車が東京を抜けてから、響さんが真っ直ぐ前を向いたままそう言った。


その声に思わず横顔を見つめると、響さんは唇の端を少し歪めて笑った。


タイムリーって、紅葉シーズンを意識して言ってるのかと思ってたのに。
神頼みって意味だったか、と思うと、響さんの気遣いが嬉しくて、ちょっとくすぐったい気分になった。


混雑した首都高を越えてからは、道路状況も順調で、私達は午前中のうちに鎌倉についた。
駅近くのコインパーキングに車を停めて、そこから他の観光客と同じように、徒歩で街を巡り歩く。


通り掛かったお蕎麦屋さんで昼食をとることにした。
車の中ではまだ緊張を解けなかった私も、美味しそうな蕎麦汁の香りに食欲が湧いた。


蕎麦湯を楽しみたくて、あえて盛り蕎麦をチョイスした。
それだけじゃ寂しいから、と頼んだ舞茸の天麩羅が凄く大きくて、響さんと二人で分け合って食べた。


満腹になって再び散策を開始する。
秋の清々しい空気の中荘厳なお寺を巡り歩くうちに、だいぶ気持ちも和んで来た。


お寺を巡りながら、おみくじを引いて回った。
最初のお寺で、響さんは中吉で私は凶。


一瞬にして落ち込む私に苦笑して、響さんは私がおみくじを結ぶ枝を出来るだけ高い位置から手で下ろしてくれた。


そして。


「……これはリベンジ必要だな」


そう悪戯っぽく笑って、私を次のお寺に誘う。
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