ウェディングロマンス~誓いのキスはふたりきりで~
そんなつもりはなかったけど、私は自分のことばかり考えていた。
それで、響さんの前で笑えなくなっていたのかもしれない。


それに気付いて、申し訳なさに黙り込む私の頭を、響さんは困ったようにポンと叩いた。


「だから、そんな顔するなって言ってんのに」

「ご、ごめんなさい」


相変わらずすぐ謝る私に響さんは苦笑すると、なんとなく空を見上げながら私にクルッと背中を向けた。


「……おみくじも吉出たことだし……。海も近いし、ちょっと寄って行くか? あ、でもなんか雲行きが……」


取って付けたような話題を持ち出す響さんを見つめながら、私の胸はキュンと疼く。


響さんの言葉があまりにも嬉し過ぎて。


遠慮するな、なんて言われたら、どうしていいかわからない。


どうしよう。困らせるってわかってるのに、泣きそうだ。


でもダメ、こんなとこで泣いちゃダメ!


「萌?」

「あのっ、私っ!」


私を窺うように振り返る響さんの声を遮って、私はそう声を上げた。


「え?」

「の、喉渇いちゃって。なんか飲み物買ってきます!」

「え? 萌?」


響さんが目を見開いて私を見ているのを感じる。


私は響さんから隠すように顔を背けてから、一度も振り返らずに参道に駆け出した。
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