ウェディングロマンス~誓いのキスはふたりきりで~
そして次の瞬間、今度は響さんがくしゃみをした。
なんだか気まずい沈黙が流れる。


「……まあ、そうだよな。こんなとこで言い合ってても何の得もないか」


鼻に手を当てながら肩を竦める響さんに、私は大きく頷いた。
そして、暖を取ろうと、無意識で自分の身体を抱きしめた。


「き、きっと直ぐ止みますよ。ほら、南国のスコールみたいな感じで」


無理矢理明るく笑って見せると、響さんは呆れた顔で私を見下ろした。


「全然違うだろ。……って、萌、寒いか?」

「だ、大丈夫……」


そう返事は出来ても、ジワジワ浸透してくる寒さで身体がカタカタと震え出す。


響さんは、そんな私を何か考えるように見つめて……。


「……っ!?」


ふわっと。
肩から腕が回された。


そして、その腕にギュッと力が籠るのを感じる。


「ひ、響さっ……!?」


後ろから抱きしめられている。
突然のことに一瞬頭の中が真っ白になって、声も鼓動も大きく引っくり返った。


「……バカ。風邪引きたくないだけだよ。お互い様だろ。……ちょっとだから、このくらい我慢しろ」


響さんはどこかぶっきら棒な口調でそう言い捨てて、片方の腕をお腹に下ろした。
二つの位置でがっちりと固定されたみたいで、私は身動きが取れない。


「が、我慢って……」


そうは言われてもっ……!!
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