ウェディングロマンス~誓いのキスはふたりきりで~
響さんの言葉がとても嬉しい。
嬉しいのに……。


そうじゃない、それだけじゃ嫌なの、と、私の心が叫んでいた。


心に過るこのモヤモヤがなんなのか……。
その答えははっきりしないのに、私の脳裏には中谷さんの姿がくっきりと浮かび上がる。
それを意識した途端、ドクンと大きく鼓動がリズムを狂わせた。


私は、中谷さんのように……。


こんな状況で、彼女を強く意識する。
そして、さっきOLに話し掛けられていた響さんを見て、私の心を過ったその感情。


――嫉妬。


私も、中谷さんみたいに、響さんに愛されたい。


今までに感じたことのない強く心を揺さぶる感情に、私は戸惑ってどうしていいかわからなくなる。


一度溢れ返った想いが、心の中で怖いくらい膨張する。
だけど、次の瞬間。
胸を突き刺した小さな痛みが、私に理性を返して冷静にしてくれた。


人生最大の寂しさを植え付けられた、あの一瞬――。
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