ウェディングロマンス~誓いのキスはふたりきりで~
座談会メンバーの到着を待つ間、私は一人ぼんやりと庭園を歩いてみた。


綺麗に色付いた落葉樹が、鎌倉の街並みを思い出させる。
途端にドクンと心臓が音を立てて、私は思わずその場にしゃがみ込んだ。


――ダメだ。やっぱりまだドキドキする。


鎌倉デートの後、私はまともに響さんと顔を合わせられずにいた。


週が明けてしまえば、座談会の準備がピークで、仕事を理由に顔を合わさずに済ますことも出来た。
それも今日まで……と思うと、明日からどうやって響さんに接すればいいんだろう。


はああっと息をついて、無意識に頭を抱えた。


本番はこれからなのに。
気になることは他にもあるのに。
私、ずっと響さんのことばかり考えてる。


四六時中響さんのことを考えて、ドキドキしてワタワタして、キュンとして苦しくなって。
自分でもどうしていいかわからないくらい、気持ちは不安定で、ちょっとしたことでも泣きそうになる。


こんな気持ちじゃ、いつまで経っても落ち着けない。
それに、なんだかこんなの、こんなのまるで……。


一瞬その答えが頭を掠めた時、お座敷の方から私を呼ぶ声が聞こえた。


「沢木さん! メンバー到着したよ!」


私を呼ぶ錦戸さんの声に、ハッと我に返る。


「はい!」


慌てて返事をして、庭園を後にした。


いけない。大事な本番なのに。
こんな気持ちのままじゃ乗り切れない。


頑張らないと。頑張らないと……。
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