ウェディングロマンス~誓いのキスはふたりきりで~
私のせいで滅茶滅茶になってしまった座談会。


インタビュアーを務めたなずなちゃんの助力のおかげで、響さんと山形さんに最後の質問をメールインタビューして記事にすることが出来た。


錦戸さんが絶妙なカメラアングルでとらえた写真のおかげで、ビジュアル的にも楽しめる内容に仕上がった。


そして、篠沢課長や香川主任の力も借りて、校了したのがつい三週間前のこと。
なんとか無事に、期日通りに、行員全員の手元に配布することが出来た。


ホッとしたけれど、苦い気持ちも心に残った。


自己評価は七十点。
そして今、私は次の連載に向けて気を引き締めているところ。


この座談会の失敗を教訓にして、私はもっと頑張るんだから。
一人で決意を新たにして、私はギュッと拳を握る。


そんな私の前で、お義母様はページを捲りながら、あら、と呟いて、なんだかニヤニヤ笑った。


「へえ……響、こんなこと言ったの?
『オンオフはちゃんと、切り離すようにしてます。物理的にも精神的にも、家に仕事を持ち込むことはしたくない。
僕は最近結婚したんですが、その辺は仕事熱心な妻にも倣って欲しいとこですね』」


声に出して読み上げられて、響さんがブッと吹き出した。
私もビクッと背筋を伸ばしてしまう。
私達の様子をチラ見して、お義母様はその続きを読む。


「『不器用なんで、仕事に没頭するタイプなんですよね。頑張ってるなあ、って思うけど、心配になる。
それに、家では僕に集中して欲しいって思うし……』」


ちょっと待った!と、響さんがテーブルを叩いた。
その剣幕に、お義母様も顔を上げて、きょとんとした目を向ける。
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