ウェディングロマンス~誓いのキスはふたりきりで~
「……あり得ないと思うけど、一応聞く。お前、まさか……」


消え入って行く声に、一度瞬いた。
そして、慌てて首を横に振る。


「い、いえ、違うんです! 今私がどう、とかじゃなくて!!」


予期せぬ誤解を招いたことに慌てて力一杯否定すると、そ、と、響さんが私の肩でホッと息をついた。
その反応に、やっぱり、と沈む気持ちを抑えられない。


「あの……どうしてですか? 私は……響さんの赤ちゃん、欲しいです」


カアッと頬が熱くなるのを意識して、気持ちを落ち着けながらそう言った。


響さんが、息を飲んだ。
そして一瞬沈黙した後、ハアッと溜め息をついた。


「……誤解するな。別に子供が嫌いとか欲しくないとか言ってない」

「じゃあ……」

「でも、まだいいだろうが。俺はもっと……萌と二人でいたい」

「……っ……」


耳元で囁かれたちょっと不機嫌な声。


身体を強張らせると同時に、響さんが腕を離して私を解放した。
身体ごと響さんと正面から向かい合うと、響さんは片手で顔を隠しながらそっぽを向いてしまう。


「相当ゆっくり時間掛けて、やっと萌の心、手に入れたのに。
……何もそんな急いで子供のこと考えなくてもいいだろ」


プイッと顔を背けたまま、響さんはキッチンから出て行く。
私は慌ててその後を追った。
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