ウェディングロマンス~誓いのキスはふたりきりで~
ショッピングモールの中の行列していたイタリアンのお店で、響さんと二人でランチを過ごした。


たまたま通りかかった映画館の前で、響さんが観たいと言ったから、一緒に映画を観た。
洋画のサスペンス物で、ちょっとショッキングな場面も多くて。
そういうシーンが出てくる度に両手で顔を覆っていた私に気付いて、響さんは途中から映画よりも私の反応を面白がっていた。


映画館を出て、なんとなく流れでお店を覗きながら歩いた。


そして、夕陽が沈む直前に海岸に出た。


雰囲気のせいか、周りは若いカップルの姿ばかりだった。
そんな中、一歩先を歩く響さんの後ろを、私は俯きがちに歩く。


「……もう五時か」


響さんがポツリと一言呟いた。
その声に、私も自分の腕時計に目を落とす。


「ほんとだ……。なんだか、あっという間でした」


同意しながらそう言うと、響さんは立ち止まってゆっくり私を振り返った。


「どうしようか。このまま帰る?」


そう尋ねられて、一瞬返事に困った。


「あれ? 何だよ? あんなに出かけるの渋ってたくせに」


私の反応を笑って、響さんがちょっと意地悪にそう言う。
だって、と思わず声を上げた。


「……今からじゃ、ちゃんとした夕食作れないなって思ったから」

「そんなことか」


響さんは肩を竦めて再びゆっくり歩き出した。
私もその後を追う。
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