ウェディングロマンス~誓いのキスはふたりきりで~
その機転と行動力には頼れる大人の男を感じた。


ちょっと不遜とも言えるハキハキした言葉遣いには、自信と包容力が漲っていた。


一つ一つの出会いを大切にしたいという言葉からは、意外な繊細さが伝わって来て。


『可愛いじゃん』


普通に言われたらチャラいとしか思えなかった言葉には、優しさを感じた。


真っ直ぐ向けられた瞳からは、どうしようもない色気が漂っていて。


危ういくらい溢れ出る響さんの魅力の一つ一つを全身で受け止めて、私はあの時からずっと響さんに憧れていた。


そう、憧れ。
私が抱いたのは羨望だった。


私なんかが手を伸ばしても、届く人じゃない。
ううん、むしろ、手が届いたらいけないくらい、神々しい人。


インタビュー後も、記事の確認や誌面レイアウトの報告で、何度かメールでやり取りした。
社内報が発行された後は、そういうやり取りも必要なくなって、その後は何の関わりもなくなった。


広い行内では偶然姿を見る機会もなくて、憧れは一ミリも育つことはなく。
私の心の奥底で、淡い思い出になっていくだけだった。
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