ウェディングロマンス~誓いのキスはふたりきりで~
『じゃ、明日のランチで話聞かせてね~! お土産も楽しみにしてるよん』


財務部に勤めている一番の親友、同期の塩野美砂子(しおのみさこ)が、絵文字満載のメッセージをSNSで送信して来る。


『うん。また明日ね!』


指先でサッと打ったメッセージを電波に載せる。
その数秒後、大きく手を振ったクマのスタンプが送られてきた。


ほんわかしたキャラクターに、なんだか妙に和まされた。
そして、この三十分くらいのやり取りを見返して、そのままテーブルに腕を伸ばしながら上体を突っ伏した。


結婚式に出席してくれた時に会ったのが最後。
週に二回は一緒にランチを取る同期だからこそ、一週間以上顔を合わせていないと、久しぶりって思う。


ハネムーンで行ったニューカレドニアの話がしたい。
海は信じられないくらい綺麗だったし、フランスの雰囲気漂う街並みはどこかロマンチックで素敵だった。
食事も、新鮮な海の幸を堪能したし、最高だった。


ほんの数日前までの夢のようなハネムーンを思い出して、私は思わずフフッと笑った。
漏れ出た小さな笑い声は、徐々に掠れて最後は溜め息になった。


クッと顔を横向ける。
冷たいテーブルに右の頬をついたまま、並んだお皿を平行に見つめた。


結婚して初めてこの新居のキッチンに立って料理をした。


生活に欠かせない『食』に関わる場所。


これから先に紡いでいく、たくさんの日常のスタートラインに立ったみたい。


頑張んなきゃ、って思う。
いい奥さんになんなきゃ、って。
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