ウェディングロマンス~誓いのキスはふたりきりで~
「気にしてないから、いいよ」

「……良くないんですっ!」


両手をテーブルに置いてそう声を上げる私を、響さんはキョトンとして見つめた。
真っ直ぐな視線を感じながら、私はただ俯いた。


「私が響さんに奥様として出来ること、このくらいしかなかったのに」


そう言いながら、唇を噛み締めた。
響さんは黙って私の言葉を待っている。


「立派な奥様になるって宣言したのに、情けないです」


そう言い切って、グッと顔を上げた。
揺るがない真っ直ぐな視線を受けて、つい、気持ちが揺れてしまう。


「……で、でも、言い訳すると、やっぱり恥ずかしくて……」


小さな声でしどろもどろになって呟くと、響さんはコーヒーを一口口に含んでからフッと笑った。


「やっぱり、脳内消去した方がいい?」


その言葉に、ただブンブンと首を縦に振った。
私の反応に、響さんは頬杖をついて目線をテレビに向けた。


「……まあ、俺も避けられ続けるのは嫌だし」

「よ、良かった!」


ホッとして顔を上げると、意地悪な瞳が真っ直ぐ私に向けられた。


「でも、出来るか出来ないかは約束しない」

「えっ……」
< 98 / 224 >

この作品をシェア

pagetop