ラブレッスン
目を逸らさずにじっと見つめるだけの私に、結城歩も何も言わずにただ見つめ返してきた。





それだけで胸の鼓動が激しくなって、息苦しくなってしまう。





あなたは平気なの?




私相手じゃドキドキもしないから苦しいなんて有り得ない?





確かめたくなって腕に這わせた手をゆっくりと結城歩の心臓へと移動させる。





トクン…トクン…




一定に刻まれる胸の音は、私相手じゃ心乱れることはないと知らせてくれた。





その事に悲しさを覚えたその時ーー






ギイイッ…





屋上の扉が開く音が耳に響く。




誰か来た。





パッと胸に当ててた手を離す。





扉からは給油棟が陰になったこの場所はまだお互いが見えない。





けれど、こっちに向かって来たら…






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