麻美ちゃんと女好き王子
…………
「き、綺麗ですねー」
「うん、そうだね」
「…」
「…」
その後、二人で観覧車に乗ると夕陽にあてられた園内を上から見下ろした。
乗る前から緊張はしていたけれど、実際に乗ったらこの何とも言えない二人きりの空間に、心臓がうるさくなって。
もともと先輩の顔を直視することはほとんどなかったのに、今は更に先輩を見ることが出来ない。
…こんなんで本当に、ちゃんと告白ができるのかな。
あたしは思わずそんなふうに、外の景色を見下ろしながらそう思ってしまう。
高瀬先輩と二人きりで観覧車なんて、夢みたいではあるけれど。
実際に付き合いだしたら、もっといっぱい二人きりになる空間が増えるんだ。
そう思ったら、嬉しいというよりも…何故か不安が大きくなった気がした。
…何でだろうな。
すると、そう思っていたら…
「麻美ちゃん、」
「は、はい!」
ふいに高瀬先輩が、あたしに目を遣って声をかけてきた。
「ありがとね、今日」
「え、」
「正直さ、他の部員がいなくて麻美ちゃんといきなり二人だけだから、どうなるかなーってちょっと不安ではあったけど、楽しかったよ」
「!」
「俺、女の子と二人だけとか初めてだったけど、こういうのも良いと思う。
またこうやって、二人で来ようね」