短編集
『ありがとうございます。
もう、いいですよ。
ただの紙なんで…。』


私は、彼の動きを制止させようと、腰を屈めて腕を伸ばした。


『いえ…。
ただの紙なんかじゃありませんよ。
これ、大切にしてたじゃないですか。』


『…えっ。』



そこまで見られてたの?

目の前の彼に?


そりゃ…たまにはウットリした感じでこの栞を眺めていたかもしれない。


本が変わってもこの栞は変えずに毎日使っていたし…。

ただの紙っぺらをこんなふうに扱っていたら、誰でもそう見えて当然…か。
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