アイザワさんとアイザワさん
そして目の前にいる二人には聞こえないような小声で、
「大丈夫か?倒れそうになったら支えてやるからな。……俺を利用しろ。」
と、言った。
たぶん二人には、その様子が私が彼氏の相澤に遠慮して、元彼の馨さんを紹介できないでいる、という感じに見えたはずだ。
黒瀬さんが残念そうに「なんだー!そういう事かよ!」と言った。
私は、身体に力を入れて姿勢を正した。
私は……この場でできる『正しい』ことをしないといけない。馨さんと話をしないといけないんだ。
ひとつ、深呼吸をして、私はゆっくりと顔を上げた。
目の前に、私が好きで好きでたまらなかった人がいた。
好きで、好きで、でも深く傷つけてしまった人が……
「かお……生方さん。いろいろとごめんなさい。ちゃんと顔を合わせて言いたかったけど、今まで言えなかったの。」
「玲子お母さんにも、ちゃんとお別れできなくてごめんなさい。生方さんが結婚した、って聞いた時もお祝いの言葉一つ言えなくて……」
そんな私の言葉に馨さんは言葉を返してくれた。
「俺も、弱かったんだ。傷つけたまま……逃げてごめんね。」