アイザワさんとアイザワさん

「おい、瞬!」

相澤オーナーが慌てて止めたけどそれを聞くことなく、若先生は私の肩を抱きながらさっさと玄関に向かって歩き出していた。


その強引さに驚きながらも、頭の中では若先生の名前って瞬さんって言うんだったよなぁ……と全く関係ないことを考えてしまっていた。


そんな私の頭の中を見透かすように「そう言えば、俺の名前知ってた?」と言って若先生は愉快そうに笑った。


「すみません、この前初めて知りました……」


正直にそう言うと、「初花ちゃんは翠さんの事で頭がいっぱいだったからね。」と相澤と同じような事を言われた。


顔は似ていないけど、こういうところが双子っぽいなぁ、と思った。


「もう『若先生』なんて呼ばれてないから、俺のことは『瞬』でいいよ。」


そう言われていきなり呼び捨てになんてできない。「分かりました……瞬先生」と答えた。



瞬先生の車は、BMWだった。何て言うか……予想通り過ぎて思わず笑ってしまった。

ちなみに頭の中は、ベンツかBMWの二択だった。

「何笑ってるの。そのまんまだなー、とかって思ってるんでしょ?」

そう瞬先生は言って笑った。


何か相澤ともこんな会話をしたなぁ、と私はエリア会議の時の事を思い出していた。

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