アイザワさんとアイザワさん

ほんの2ヵ月前のことなのに、ずいぶん昔の事みたい……


「初花ちゃーん、ぼんやりしてたら抱えて乗せちゃうよ。」

はっと気がついて見ると瞬先生が助手席のほうを開けて待っててくれていた。


「す、すみません!」


私は慌てて車に乗りこんだ。


***

「今日はどうして私に会いに来たんですか?」

車が走り出してすぐ、私は単刀直入にこう聞いた。回りくどい話はしたくなかった。


瞬先生はそう言われることも予想していたように、ふふっと小さく笑いながら言った。


「初花ちゃんの様子を見に来ました。……記憶戻ってるんでしょ?」


水元医院にカウンセリングを受けに通っていて、だいぶ心も落ち着いてきた頃、瞬先生に「箱が無理やり開いてしまったら、すぐに教えてね。初花ちゃんがどこにいても駆けつけるから。」と言われていたことを思い出した。


「アフターケアですか?」と私は聞いた。


そんな私の言葉に「まぁ、そんな感じだね。」と瞬先生は答えた。


「後は、樹のフォローかな。」


この人はどこまで知ってるんだろう……


私がそう思ったのも分かってしまったようで、
「樹は何も言わないよ。……でも、バカ正直な奴だから……顔に出ちゃうんだよねぇ。」と言われてしまった。

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