アイザワさんとアイザワさん
キスを続けるうちにだんだんと頭の中はぼんやりとしてきたけど、頭の隅では、一緒にケーキを食べようって言ったのに……とちょっと恨みがましい気持ちになってしまったことは、相澤には内緒にしておこうと思った。
だけど、そんな呑気なことを考えていられたのもそこまでだった。
キスはどんどん激しくなっていき、深く口唇を重ねられて舌を絡め取られたかと思うと、内側をその舌でくまなく探られた。
その間にも彼の指先は私の髪の毛をほぐし、大きな手は首筋や背中を優しく撫でていく。止まることのないキスと愛撫に私の息はあがり、思考はどんどんぼやけていった。
いつの間にか私はキスに応えることも忘れてしまって、ただ切ない息を吐くことしかできなくなってしまっていた。
どれくらい時間が経ったのか、相澤のこんな言葉でようやく口唇が解放された。
「もう……逃げないよな。」
私はこの人から一度も逃げられなかった。
……逃げられないって分かってるくせに。
「だって、逃がすつもりはないんですよね?」
こんな事しか言えない自分はちょっと可愛げがないなと思ったけど、相澤はそんな私の強がりも分かっているみたいだった。
「ああ。お前だって一生離れないつもりなんだろ?」
そう微笑みながら言われてしまった。
その笑顔だって、私の心をいつも揺らすんだ。