アイザワさんとアイザワさん

12月25日。
結局『Milky Way』のケーキはイブには食べられなかった。

ちょっと寝不足な目元をファンデーションで必死に隠す。


朝まで一緒にいた人はもう隣にいなかった。


「事務所で着替えてから行くから。初花、遅れるなよ。」


そう言って相澤は一足先にアパートを出て行った。こーいう時の為にもあの事務所は役に立つみたいだ。


とりあえず、お店に行って、九嶋くんにありがとうと言おう。
私はとても晴れやかな気持ちでアパートを出た。


***


店に入ると、九嶋くんがニヤニヤ笑いで迎えてくれた。


「相沢ー。良かったな。」


「そうだね。とりあえず悲しい意味の『気まずい』勤務にはならないと思うよ。」


「店長にさぁ、『いろいろとありがとうな』なんて言われたよ。しかも笑顔で!あの眼鏡にあの笑顔だよ、いやー、萌えたわぁ。」


九嶋くんは、男女問わずの眼鏡フェチだ。
九嶋くん曰く、「店長は目と眼鏡のバランスが完璧!」だそうな。


彼の萌えはよく分からないけど、私のイケメン好きも周りには理解してもらえないから『萌え』ってそんなもんか、と思う。


彼とは付き合いも長いし、オープンな性格なので、好みのタイプは知っていた。
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