アイザワさんとアイザワさん
これって……樹さんの車だ……よね?
ナンバーも確かに覚えのある数字で彼の車に間違いなかった。
夜勤なのに、こんな時間に買い物?
不思議に思って車を見ていると、スーパーの方から男女が歩いて来るのが見えた。
女性のほうの、すらりと背が高くモデルのようなスタイルと、腰まであるストレートの綺麗な黒髪には見覚えがあった。
そして、その彼女の隣にいたのは……やっぱり、相澤だった。
それは昨日見たはずの光景だったけど、目の前で起こっていることが現実とは思えなかった。
逃げたり、目を反らすこともできずに呆然と立ち尽くす。
頭の中は、嘘……とか、どうして?とか、そんな言葉でぐちゃぐちゃになっていた。
じっと見すぎてしまったのか……視線に気づいたように相澤がこっちを見た。
見ている人が私だと気がついたらしい。
目が合って……彼が持っていた買い物袋を女性に渡しているのを見て……
気がついたらくるり、と踵を返して私は走り出していた。
「……初花!」
相澤が私を呼ぶ声が聞こえる。
……どうして追いかけて来るの?
嫌だ、嫌だ、嫌だ。
今は 、何も話したくない。
そのまま、通りを走っていたタクシーをつかまえて飛び乗った。