アイザワさんとアイザワさん

「すみません。突然お邪魔して。」


「いいのよ。今日は善ちゃんも居ないしね。」


仙道さんは本社への出張で、今日は家にはいないらしい。
急にあがりこんで迷惑にならないかと思っていたので、仙道さんが出張中でよかった……と思ってしまった。


「……玲くんは?」


「さっき眠ったところだから、うまくいけば2時間は大丈夫よ。」


「……それで?何があったの?」


鞠枝さんにそう聞かれて、ついさっき、昨日見た女性と相澤がまた一緒にいた所を見てしまったことを話した。


「で、逃げちゃったのね。」

「……はい。」


話しているうちに、胃がシクシクと痛みだしてきた。さっきコンビニで買ったものは逃げた時に無意識に放り出してしまったらしく、手元にはなかった。


「初花ちゃん、ちょっと横になりなさい。そんなんじゃ、まともに話もできないでしょ。それで今日は泊まって行きなさい。明日休みって言ってたよね?」


このまま一人では居たくなかったので、鞠枝さんの言葉はとてもありがたかった。


ベッドを借りて横になる。
胃の痛みのせいでしばらく目が冴えていたけど、心のほうがよっぽど疲れていたようで、だんだんと意識が薄れていった。
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