アイザワさんとアイザワさん
「初花ちゃん。逃げちゃだめよ。」
厳しい口調に思わず固まってしまう。
「お兄ちゃんとの時は……初花ちゃんのおばあちゃんのことがあったから、何も言えなかったけど……あの時だって辛いことから逃げたでしょう?逃げたら……どうなるか分かるよね?」
「相澤さんから事情は聞かなかったけど、負けちゃだめよ。失いたくないなら逃げないで向き合いなさい。」
……そんな事はとっくに分かってる。また私は大切な人を失ってしまう怖さに縛られているってことも。
「分かってます……頭では分かっていても、嫌だって、身体が勝手に動いてしまって……でも……私は一緒に居たいって思ってるんです。」
「相澤さんも同じ気持ちだと思うんだけど……何か誤解があるような気がするから、やっぱりちゃんと話したほうがいいよ。」
「相澤さんはずっと初花ちゃんのことが好きだったんでしょう?今だって、好きじゃなかったらこんなに必死に初花ちゃんのことを探してないと思うんだけどなぁ……」
誤解……なんだろうか。
あの女の人は誰なんだろう。私は逃げずにちゃんと聞かないといけないんだ。
今日はゆっくり休みなさい。気力がないとまた逃げたくなっちゃうからね。
鞠枝さんが玲くんをあやす時のようにトントン、と優しく背中を撫でてくれた。その優しさに包まれながら私はまた眠りについた。