アイザワさんとアイザワさん
チャイムを鳴らす。
インターホンから聞こえた「はい」と言う声は父親のものだった。
どなたですか?とは聞かれない。
誰が来たか分かっているからだろう。
「……私です。」
私も、それだけを答えた。
足音が聞こえ、ドアが開けられて……
『両親』が出迎えてくれた。
5年ぶりの再会は思っていたよりもあっけないものだった。
お母さん、少し痩せたな……
『父親』はあまり変わっていなかったけど、『母親』は記憶の中の姿よりも若干痩せて、やつれたように見えた。
「……初花、お帰りなさい。」
そうお父さんは声をかけてくれたけど、私はその言葉にうなずくのが精一杯で、どうしても『ただいま』の一言が出てこなかった。
そんな私の様子を見ながら、お父さんは源ちゃんに「お久しぶりです。」と挨拶をした。
「孝さん、久しぶりだね。もう向こうでの仕事のほうは片付いたのかい?」
「ええ。やっと帰って来ることができました。」
……源ちゃんとお父さんって仲良かったっけ?
そう思いつつ、二人の会話を聞きながら、ふと隣の樹さんを見ると、両親に視線を向けながらも何か考えこむような表情をしていた。