アイザワさんとアイザワさん

家の居間には掃き出しの大きな窓がある。


おばあちゃんが元気な頃は、一日中庭にいて、木や花の手入れをしたり、野菜なんかを作ったりしていた。


マメなおばあちゃんが手入れする家の庭は、一年中鮮やかな色をしていた。だから、この家でのおばあちゃんとの思い出は、鮮やかな色とともに甦ってくるものばかりだ。


5年ぶりに見た庭は、春の準備をしているかのように緑ばかりが茂っていたけど、放置をされているとか乱雑な様子は無くて、よく手入れをされているように見えた。


「ちゃんと綺麗にしているだろう?」


懐かしさのあまりじっと見てしまっていたらしい。お父さんが笑いながら言った。


「佐知子が手入れをしてくれていたんだよ。」


その言葉に私は驚いた。


虫が大嫌いで、一緒に雑草取りをした時だっていちいち大騒ぎするから「あんたは、もういいわ。」なんておばあちゃんに言われてたお母さんがこの広い庭の手入れをしているなんて信じられなかった。


「さ、まずはケーキでも食べようか。」


お母さんと一緒にトレーにケーキと紅茶を乗せて源ちゃんがにこにこと笑いながらやって来た。ケーキ食べたさにお茶の準備まで手伝いに行ったらしい。


その勝手知ったる様子に、源ちゃんのほうがよっぽど『家族』みたいだな……と思って苦笑いをしてしまった。
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