アイザワさんとアイザワさん

口調はおどけていたけど、私を心配するように様子をうかがうその目は真剣なものだった。

……分かっちゃったかな。

助けてくれてありがとうございます。
その意味も込めて「大丈夫ですよ。まだまだ飲めます!」とにっこり笑って返事をした。


鞠枝さん側の席に座っている茜さんと唯ちゃんからは鞠枝さんの表情は見えない。

しかし、私の隣に座っている相澤からは、私が挙動不審になったのも、鞠枝さんの真剣な表情もはっきり分かってしまったのだろう。そんな私たちの様子を相澤だけは笑うことなくじっと見つめていた。


そんな私達3人の微妙な空気を気にすることなく、最年少の唯ちゃんが、なかなか空気を読めない質問をした。

「そういえば、店長と副店長って、夫婦じゃないってのは分かりましたけど、付き合ってはいないんですか?」

「付き合ってないよ!」
「付き合ってねぇよ!!」

二人同時に声を上げていた。

「そういうお前はどうなんだよ?」
うまい具合に、相澤が唯ちゃんに質問を投げ返す。

「付き合ってる人も、好きな人もいないんですー。初恋もまだなんで……」

その発言に全員が驚いた。

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