アイザワさんとアイザワさん

「え?好きな人もいたことがないの?」驚きつつ茜さんが唯ちゃんに聞く。

「はい。恋ってどんな感情なんでしょうねぇ。」
まるで夢見る乙女のように目をキラキラと輝かせて語る彼女に、私は自分が年を取ったことを痛感した。

「さすが、さとり世代。理解不能だわ。」
と鞠枝さんが言うと、

「あら、ゆとり世代だって理解不能だったわよ。」とすかさず茜さんが言った。そして、ね、店長。と同意を求める。二人は同じ歳だ。

「じゃあ、お二人とも好きな人はいないんですか?」さとりの質問はまだまだ続く。


「いないよー。」と言った私の横で、相澤はあっさり「いるよ。」と答えた。

その言葉に茜さんや鞠枝さんまで盛り上がる。

「だ、誰ですかっ?!知ってる人ですかっ?!彼女、いるんですかっ?!」唯ちゃんが、興奮した様子で話す。まるで女子高の恋バナのような勢いだ。


その勢いに多少押されながらも、ニヤリと笑った相澤は「教えるわけないだろうが。」と強制的に質問タイムを終了した。

「えー、ずるーい。」
「残念ー。」

と声を上げたのは茜さんと鞠枝さんで、どうやら二人がいちばん真相を聞きたかったようだった。

……旦那さんもいるのに、興味を持ちすぎですって。


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