アイザワさんとアイザワさん

その時、オーナーに呼ばれて相澤が席を立った。そろそろお開きの時間も近いから、精算の相談でもするのだろうか?

私はニヤリとした。
……今の発言、ちょっとムカついたからいたずらをしてやろう。

私は自分の空いたグラスに相澤のウーロン茶の中身をザバッと開け、代わりに今飲んでいたウーロンハイを注いでやった。


茜さんが「ちょっと、初花ちゃん。」と軽くたしなめたが、「車で帰る訳じゃないし、これくらいなら明日にも響かないでしょ?ちょっとしたイタズラですよ。」私はイヒヒ、と笑いながら言った。


鞠枝さんは呆れ顔だが止める気はなさそうで、唯ちゃんに至ってはノリノリだった。


その時、戻って来た相澤がグラスを手に取った。ニヤニヤする唯ちゃんに、私は『笑うなよ』という視線を送る。


相澤はそのまま、グラスの中身を二口ほど飲んだ。

とたんに「ん?」といった表情になり、直ぐに私の方を向いてギロリと睨みつけた。


「相沢……てめぇ。」そう言ったかと思ったら、相澤の顔はみるみるうちに真っ赤に変わっていった。

しばらくすると、目を開いているのも辛くなってきたらしい。そのまま目を閉じてテーブルに突っ伏してしまった。


……嘘でしょ?たった二口で?!!


驚く私の横で、「お前、後で絶対、コロス。」相澤は弱りながらも呪いの言葉をきっちりと吐いた。


「ごっ……ごめんなさいっ!!」
慌てて謝ったけど、もう遅かった。


……ここまでお酒に弱いとは思っていなかった。


他の皆は、あーあ……と言った感じで私達を交互に眺めていた。


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