アイザワさんとアイザワさん

「何か、いろいろ考えてんだろ。」

私は頭を覗かれたようで、ギクッとする。

「お前は考えてることが顔に出やすいんだよ。……今日も気を付けろよ。」


そんなにダダ漏れているのかな?


そう思いつつ、前日緊張しすぎてあまりよく眠れなかった私は、運転させて悪いなーと思いながらも睡魔には勝てず、深い眠りに落ちてしまっていた。


相澤がどういう思いで『気を付けろよ』と言ったのかなんて、全く考えることもなく。


***

会議は昼過ぎからなので、ゆっくり走っても充分間に合う時間だ。

「運転させといて、ぐーすか寝てんじゃねえよ……着いたぞ。」と叩き起こされて私達は駅前で少し早めの昼食を食べた。

車を出してもらったしここは払います、と言った私に「いらねぇよ」と相澤はさっさと支払いを済ませてしまった。


会議が終わったらもうそのまま帰る予定なので、今のうちにお土産を選んで送ってしまうことにする。


土曜日の駅地下は混み合っていた。
人混みに慣れていない私は、いちいち集団の流れに飲み込まれそうになる。

「ったく、どんくせぇな。」と相澤が見かねて手を繋いでくれた。


キスは何度もしているのに、手を繋いだのは初めてで、その手の感触の柔らかさに玄関でキスをした時のことを思い出してしまい、私は一人で赤くなってしまった。
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