理屈抜きの恋
26歳にしてまともな恋愛をした事のない私を『純愛という花言葉に縛られているのかもしれない』と心配した両親は真美ちゃんにそれを話したことがあった。
人の良い真美ちゃんは親の話しを親身になって聞いてくれて、私に恋人が出来るように合コンを開いたり、この前の披露パーティーのようにゲームを使って相手を探してくれていた。

「色々用意してくれたのに、ごめんね。」

「いいの、いいの。これでお役御免かと思うと少しさみしいけど、私、撫子のお父さんのファンだから。お父さんが喜んでもらえる方が嬉しい。ていうか、あれだけカッコイイお父さんがそばにいたら彼氏を作るのは難しいよねー。」

うっとりする真美ちゃんは家に遊びに来た時にお父さんを見て「一目惚れ」と言っていた。
母子家庭だから父親に憧れがあるのかも、と思っていたけど、案外本気だったみたい。

「でもさ、どうして撫子が専属秘書に選ばれたのかな?聞けば会長直々の人事でしょ?」

「あー、それ私も気になっていました。確かに撫子さんの仕事のスキルと容姿の端麗さは抜きん出ていますけど、会長直々って不思議ですよね。会長と何があったんですか?」

会長と話しをしたのはたった一度。

あれは会長の孫が副社長に就任する、という話しが出始めた頃だ。

お昼休みに休憩室でお茶を飲みながら、将棋を指している時に営業部の部長からその話を聞いた。
< 114 / 213 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop