理屈抜きの恋
「鵠沼が今日、ここに来る事を君は知らなかったんだろう?」

そういえば鵠沼さんが『俺が来る事を知っている』とか言っていた。
会長に会う予定だとも言っていたけど、副社長付きの私にはそれを知る由もない。
首を縦に振ると副社長は小さく頷いた。

「鵠沼の告白を断ったというのは本当か?」

「え?!それ、鵠沼さんが言ったんですか?!」

どうして言うの?
あの告白は本気じゃなかったの?
あの目は真剣だと思ったのに。

「鵠沼は君のことを本気で気に入っている。」

まるで私の心の中を読んだかのような副社長の言葉に驚き視線を上げると、副社長は真剣な顔で私を見た。

「君は鵠沼の理想の女性像に近い。美人な上に趣味は合う。そしてなによりあの時君が見せた優しさにあいつは完全に落ちた。」

「どうしてそんなこと?」

「鵠沼とは長い付き合いだから見ていればすぐに分かる。それに何度となく君の連絡先を知りたい、君に会いたいという連絡が来ていた。」

「そんなこと、私、知らないんですけど。」

「俺が止めていたからな。」

「え?」
< 125 / 213 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop