理屈抜きの恋
「俺も同じだ。君を意識する度、集中力が途切れてしまう。些細なことでイラついてしまう。でも、君はずっと変わらなかったから、俺のことなんて眼中にないと思っていた。」

「意識したのは今日が初めてなので…。」

「え?!今日?」

そりゃ驚くのも無理はない。
私だって恋を自覚した翌日に告白をするなんて思ってもみなかった。
ただ心の赴くまま行動したらこうなってしまっただけだ。

「すみません。」

「俺は初めて会った時からずっと君のことが好きだ。」

「え?」

「君が好きなんだ。」

そう言うと、頬に手が添えられ、慈愛に満ちた優しい瞳で私を見た。

「キスをしてもいいか?」

「好き、だから?」

「あぁ。そうだ。」

お互いに示し合わせたように笑うと、副社長の顔が近付いてくる。
それに合わせてゆっくり目を閉じると唇に柔らかく暖かい感触がした。

唇が離れたと同時に目を開けると至近距離で見つめ合う形になり、一気に恥ずかしさが襲ってくる。

でも、その真っ直ぐな綺麗な瞳を見て思う。
私も初めて会った時からこの人に惹かれていたのだと。
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