理屈抜きの恋

「お前っ!いつの間に?」

「あはは。二人とも顔真っ赤だよ。いや、いいもの見れたな~。」

「用が済んだなら早く帰れ!」

「冷たいな。確かに会長への挨拶は済んだけどさ。俺、彼女に用があるんだよね。」

副社長の了承を得てから鵠沼さんの方へ向かうと、グイっと腕を引かれて耳元に唇を寄せられた。

「諒に苛められたらいつでもおいで。君がくれたマムシドリンク飲んで待っているから。」

『マムシドリンク飲んで待っている』?

「あ!そういう意味で送ったわけじゃ…!」

「あれ?違うの?」

「健康のためですっ!」

「なんだ。残念。じゃあ、思い出に。」

チュッとリップ音を立てて頬にキスをした鵠沼さんはものすごく爽やかに笑ってそのまま部屋を出て行った。

その爽やかさにキスをされた頬を押さえて呆然としていると、背後から急に抱き締められた。

「今、どこにキスされた?」

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