理屈抜きの恋


「撫子ー!」

外出先から帰って来て、副社長と部屋に戻ろうとエレベーターを待っていると、血相を変えた真美ちゃんがやって来た。

「どうしたの?」

真美ちゃんは息を整えながら、副社長に頭を下げて挨拶をし、それからまた私に向き直る。

「ちょっと話したい事があるんだけど、今日、時間取れない?」

今日は夕方から会議があって、その後片付けをして、議事録をまとめなくてはいけない。
確実に残業が見えている日なのだけど、真美ちゃんのただならぬ様子は放っておけない。

どこかで時間を作れないものかと考えを巡らせていると副社長が声をかけてくれた。

「会議前の今なら時間を取れる。部屋で話したらいい。」

「いいんですか?」

「別にそれくらい構わないよ。外でコーヒー位飲みたいと思っていた所だし。神野さんだってちゃんと昼休み取れていないから。会議までゆっくりするといい。」

午前中、訪問先に行き、そこで予想外に話しが盛り上がってしまい、予定した時間をオーバーしてしまった。
そのせいでお昼は車内でサンドイッチを食べただけ。
副社長も休めるのなら、お言葉に甘えさせて貰おう。
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