理屈抜きの恋

「違うよ、撫子のせいじゃないっ!」

「でも、真美ちゃんはそう思ったから私に話しを聞きに来たんじゃないの?」

「違う。断じて違う!ただ、撫子には最上くん、何か話すんじゃないかと思っただけなの。撫子のせいだなんて思わないよ。思うわけない。それで撫子が傷つくの、分かっているんだから。」

泣きそうな表情になる真美ちゃんを見ていたら無意識のうちに真美ちゃんを抱きしめていた。

「ごめん。真美ちゃんを疑ったりして。」

「ううん。私こそごめん。嫌なこと思い出させちゃって。私、また食事に誘ってみるよ。それでちゃんと話を聞いてみる。ごめんね。だから撫子は気にしなくていいからね。」

「うん…。」

ギュウっと抱きしめる力を強めると真美ちゃんもそれに応えて私をギュウっと強く抱きしめた。

「撫子は仕事頑張って!副社長によろしく。」

そう言って明るく出て行ったけど、多分、お互いに気分は晴れていない。
少し気分転換に、と思って窓際へ行き、外の景色を眺めるけど「はあ。」と思わずため息が出てしまう。

そのため息で曇ってしまった窓ガラスを拭いていると、ふと視線の先に一人の男性が映り込んだ。
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