理屈抜きの恋
窓ガラスに勢いよく手を付け、その男性を凝視する。

「最上…くん?」

全体像はいつもの最上くん。
でも、背は丸まり、足取りは重い。
遠目からでも覇気はなく、いつもの明るく元気な雰囲気は微塵も感じられない。

「嘘でしょ…」

その姿はあの人にそっくりだ。
私のせい、なんておこがましいかもしれないけど、もし私のせいであんな風になってしまったのかと思うと心が痛む。

苦しくなる呼吸を整えようと胸を押さえるけど、動悸が治まらない。

その場にしゃがみ込んでしまうと、背後から肩を抱き締められた。

「大丈夫か?」

「あ…本宮副社長…。」

顔を上げるとそこには私を心配してくれる優しい人の顔。
その顔と温もりだけで気持ちが少し落ち着くけど、動揺している心の中は複雑だ。

「苦しいのか?」

「いえ、大丈夫…です。すみません。」

「一体どうした?さっきまでは元気だったじゃないか。立ち上がれるか?」
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