理屈抜きの恋
「ということは会長のご自宅ですよね?」

「そうだな。」

ですよね。
こんな大きなお屋敷に一人暮らしなんてあり得ないし、副社長は本宮家のお孫さん。
家主は当然、会長。

…って、いやいや、このタイミングで会長と顔を合わせるなんてあり得ないから!

「帰ります。」

「あ、おい!帰るな!大丈夫だ、今日は誰もいないから。」

「誰もいない?」

「会長はまだ出張中。母親と父親は海外だ。」

なるほど…って納得できるわけない。

「家主の不在中にお邪魔出来ませんっ!」

「細かいやつだな。じゃあ今から電話して会長に了承を得る。それならいいか?」

それも何か変だな、と思っているうちに副社長は電話を掛け、ん、と私に携帯を渡した。

「え?」

「君が話せ。」

「えぇぇ?!」

「早くしろ。会長を待たせるな。」
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