理屈抜きの恋

急いで取ると携帯から聞こえてきたのは会長の渋い声だった。

『神野くんかい?』

「は、はい。」

『泊まっていっても構わないから。』

「え?」

『じゃ、涼をよろしく。』

呆然としている耳に聞こえてくるのは無音。
こんな簡単に許してもらえるものなの?
ていうか泊っていっても構わないって何故そんなこと!?

「どうした?耳まで真っ赤だぞ?まさかまた熱が出たのか?」

玄関先で副社長がまたあのアナログな熱の測り方をしようと身を屈めたのを見て、急いでおでこに手を当てる。

「だ、大丈夫です。熱は確実にありません。」

「会長に何か言われたか?」

「い、いいえ。別に。あ、お邪魔することは許してもらえましたのでお邪魔します。」

でもその前に帰宅時間が予定より遅くなることを両親に電話しておこうと携帯を取り出し、自宅を呼び出す。

そして繋がった瞬間、副社長が携帯を奪った。

「え?ちょっと何しているんですか?!」
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