理屈抜きの恋

「それより、野菜を切る位は出来るだろ?そこにある野菜、適当に切って。」

包丁と小さなサイズのまな板を渡されたのはいいけど、料理初心者には適当というものが分からない。
より詳しく専門的な切り方の用語を言われても分からないけど。

「何に使うんですか?」

「サラダ。だから適当でいいよ。」

「適当…」

やっぱり適当。
レタスの適当とトマトの適当は違うよね?
パプリカはどうやって切るの?
お店や家で食べるサラダってどのくらいの大きさだっけ?
想像は出来るけど手を動かすことが出来るほどの想像力はない。

トマトをまな板に置き、包丁を握りしめたまま固まっていると、見兼ねた副社長が私の背後に回り、包丁を握る私の手に手を重ね、野菜を切り始めた。

「こんなの食べやすい大きさに切ればいいんだよ。」

< 147 / 213 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop