理屈抜きの恋
熱を帯びた瞳を向けられると、私の身体は一気に熱くなる。
副社長を掴んでいた手はいつの間にか反対に押さえ付けられ、少し開いた胸元に唇が触れた。

「ちょっと…も…もう…」

限界、と言おうとした時、パスタを茹でるためのお湯がブクブクと音を立てた。
その瞬間、副社長の動きは止まり、ガス台へと向かった。

「残念だけど続きは後だな。君に飯を食べさせる方が先らしい。」

急いで降り、胸元を直していると、うなじの部分に温かい感触がした。

「ちょっ…!?」

「ごめんごめん。つい。」

「つい…じゃないですよ!もう限界に恥ずかしいです!」

「仕方ないな。じゃあ今はとりあえずパスタが茹で上がるまでにサラダを完成させてくれよ。」

もう料理なんてしている状態じゃないんですけど。
立っているだけでやっとなのに。

でも迷惑はかけられないと必死に色とりどりの野菜と格闘していると、意外にもサラダ作りは楽しかった。


「うわ。美味しい。」

副社長お手製の和風パスタとスープは優しい家庭的な味で、あまり食欲がなかったはずなのにどんどん箸が進む。
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