理屈抜きの恋
一気に食べてしまうと副社長は嬉しそうに私を見ていた。

「美味そうに食べてもらえると作った甲斐があるな。」

「本当に美味しかったです。ご馳走様でした。」

片付けくらいは出来ると立ち上がると、副社長も一緒に立ち上がり、私が洗ったお皿を拭き、食器棚に納めてくれた。

その何気ない作業でも、職場とは全く違う、プライベートな環境の中にいるのだと実感出来る。
本当に新婚みたい。

「ん?どうした?」

「いえ。なんでもありません。」

私の突然の赤面に気が付いた副社長が顔を覗き込んでくる。
そのせいで余計に赤くなってしまう。

片付け終えてから食後に出して貰えた冷たい麦茶をこっそり頬に当て、ひんやりとした感覚に浸ることでようやく落ち着いてきた。

「撫子。」

「は。はい。」

ソファに腰かけ、2杯目の麦茶を注いでもらい、そこに口を付けようとしたところで名前を呼ばれた。
さっきから何度か呼び捨てにされるたびにドキっとしていたけど、今回は声質も表情も硬く、背筋がピンと伸びる。

「俺はまどろっこしいのは嫌いだ。ストレートに聞く。一体、何があった?」

「あ…そうですね。」

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