理屈抜きの恋
静かだ。
室内に響く音は何もない。
声さえ発しない。

それも無理はない。
俺だって混乱しているんだ。
撫子はそれ以上だろう。

それでも話さないわけにはいかなかった。
どちらの言い分を信じるかは分からないが、小田の言い分もまた撫子を想ってのことに違いはないと思ったから。

考えさせる時間を与えつつ、様子を伺う。
しばらくするとひとつ大きく深呼吸した撫子が俺の方に顔を向けた。

「今…」

「ん?」

「ここに小田先輩と最上くんを呼び出しても良いですか?」

「分かった。」

その位、お安い御用だ。
副社長という名の権力を行使して二人を呼び出した。
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