理屈抜きの恋
「好きなのに。」

「え?」

「こんなに好きなのに…俺は勝てないのか…」

想いが繋がったばかりなのに。
初めて両想い、そして恋をしたのに。

「俺じゃダメなのか…?」

「え?」

「この件に関しては見守るのが愛だと思っていた。選ぶのは撫子だから、と。でもそうする事は間違いだったのか?」

「あの…?本宮副社長?」

いや、違う。俺は間違っていない。
押し付けるような愛は混乱させるだけだ。
演技かそうでないかは分からないが、最上の愛の形は撫子を混乱させた。
冷静に考えてみれば、最上は撫子のことなんてお構いなしで、同情的に気を引いているのは明らかじゃないかっ!

「最上。」

「…」

「最上!お前、その同情を引くような恰好をまずなんとかしてから正々堂々と勝負しろよっ!」

「え?ちょっと!?涼さん?何を言って…」

「俺にだって譲れない想いくらいある!」

「ちょっと!?」

「お前は俺以上に撫子を幸せには出来ない!そんな奴に撫子は渡せない!」

「ちょっと!本宮涼!!」

久しぶりに呼ばれたフルネームの呼び捨てに我に返り、撫子の方を向くと、撫子は唇をかみしめ、震えていた。
その姿に気持ちが沈む。
もうあがいてどうにかなる問題ではないようだ。

「ごめん。分かった。潔く身を引くよ。そうだな。選ぶのは撫子だもんな。最上、撫子を泣かせたら承知しないぞ。多分、鈴木部長もそう言うと思…」

「ブハッ!」

「え?」

なぜだ?
みんなが俺を見て笑っている。
いつの間にか入ってきていた会長にまで笑われているとはどういうことだ?

「おい!身内の不幸を笑うなっ!」
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