理屈抜きの恋
ただどこかで淡い期待を持ってしまったことが情けないだけだ。

「もう何やっているんだか…。」

ため息とともにそうつぶやいた時、フワリと肩に温かい感触がした。

「大丈夫か?」

「!?」

その声に反応してパッと顔を上げると、至近距離にいたのは綺麗な顔をした男性。

「あ!本宮涼!?」

「おい…呼び捨てにするなよ。失礼だ。」

私が名前を呼んだ瞬間、距離を開けた本宮涼に『失礼なのはどちらですか』と言ってやりたいたいところだけど、今その気力はない。
最上くんが私を探しに来てくれたんじゃないかと一瞬期待した自分が本当にバカみたい。

「こんなところで何をしている?泣いているのか?」

俯いて途方に暮れていたから泣いていると思ったのだろう。
でも、泣いてはいない。
それを言葉にする変わりに首を大きく横に振ると、本宮涼はその真意を問うかのように身を屈め、顔を覗き込んできた。

「泣いてはいない…か。」

「はい。」

「じゃあ何しているんだ?具合悪いのか?」
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