理屈抜きの恋
不思議に思って店員さんを見ていたらフッと笑われた。
その姿が誰かに似ていて、次の瞬間、ハッとした。

「副社長のお姉さんか誰かですか?」

「あら。嬉しいわね。でも違うわ。私はあの子のお母さん。」

「えぇ?!」

若すぎる。
お姉さんでも十分通用しそうなほど肌も髪もツヤツヤしている。

「そんなに驚かないで頂戴。それより早く支度するわよ。しないなら無理に脱がせるけどいいかしら?」

「わ、分かりました!自分で着替えます!」

半ば強制的に着替えたそのドレスは不思議な事にサイズがピッタリだった。
試着室から出ると、本宮母も驚いたように目を見開いた。

「ここまでピッタリとは驚きね。何回抱かれたの?」

「だっ?!」

「あらやだ。その反応はまだ、って事?でも、抱いてもいないのに、これだけピッタリって、あの子相当あなたを見ているのね。でも、せっかくの私の服がそのダサい髪型とメイクじゃ魅力半減だわ。ちょっとそこに座りなさい。」

またしても無理矢理鏡台の前に座らされたかと思ったら、物凄いスピードで髪をセットされ、メイクを施された。

時間が気になり時計に目をやるも、ここまでの所要時間はたったの15分。
恐るべし、本宮母。
< 74 / 213 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop