理屈抜きの恋
「よし。完璧だわ。じゃあ息子を驚かしに行きましょう!行くわよ、撫子ちゃん!」

「何で名前…?」

そう聞いたのに、ぐいぐい腕を引っ張り、元来た道を戻るだけで何も答えてくれない。
この質問に答えてくれない感じは親子だな、って思う。

そして副社長が目に入った時、私を掴んだ腕に力が入り、副社長目掛けて身体ごと投げ出された。

「うわっ!」

前のめりになり、倒れそうになった所を支えてくれたのは副社長。
お礼を言うために見上げると、お母さんと同じように驚き、目を見開いた。

そりゃそうだよね。
急に女が飛び出してきたらそりゃ驚くわ。

ていうか、何してくれるのさ!

そう言おうと振り向くと、腕を組んだ本宮母が満足気に何度も頷いていた。

「イイわ!完璧!涼。あんた良い目を持ったわね。元はと言えばお祖父様の目だけど涼にぴったりだわ。」

「母さんってスゲェんだな。今日初めて尊敬したわ。でも、靴は?こんなにヒール高くて大丈夫か?こいつ、意外と落ち着きないんだけど。」

「大丈夫よ。機能性を重視した靴を選んであるから。それより早く行きなさい。撫子ちゃん。また今度ゆっくりお話ししましょうね。」




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