体から堕ちる恋――それは、愛か否か、
翌日、別荘を出る少し前に、優のスマホが鳴った。弟の生美からだ。

2つ違いの生美。2人は子供のころから仲がよい。
スポーツが得意で、学生時代はバスケット部やテニス部を掛け持ちして動き回っていた優と、小学生のころから花が大好きで、女子に混じって園芸部に所属していた生美。
見た目の印象も優はきりっとしていて生美はソフト。
一見、タイプの異なる兄弟だが、思ったことをずけずけとすぐ口にする優と、柔らかい物腰で、けれど言いたいことははっきり主張する生美は、見た目はともかく芯が似通っている。
 
「あ、優くん?」

生美は優を子供のころから「君」付けで呼ぶ。

生美からの電話なら美弥に気を使うこともないかと、優は美弥の前で会話を続けた。
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